TweetとNoteのあいだ

日記の亜種

道楽馬鹿に流離う雌鹿

まあなんつーか、「ほんとの自分とは」なんてしゃらくさいことを言い募っても仕方ないが、仮に自分の原型みたいなものがあるとしたら、そいつはテキトーに絵を描き、PSPで存分にゲームをし、ロックとポップの狭間の音楽をテキトーに聴き、武道を嫌々やり、ネットで愉快な仲間と朝な夕な語り呆ける、っていうそのくらいのもんなんだろうと思う。別に大したもんじゃないし、ちっとも特別なもんでもない。万事シンプルここに極まる。

 

シンプルなことだからこそ見失う。見失った先で誰かに褒められでもすりゃまんまと調子づき、また長い長い迷宮に迷い込む。そうやってふらつく足取りで往く旅は、当然面白いことだってたくさんあるが、「進化を重ねた先の、これがほんとの自分なんだ」という思い込みで、傷だらけの我が身はまた蔑ろにされる。

 

ごちゃごちゃと無粋な論理ばかりの話ならやめちまえ。おまえの文体は、頭は、タイムラインは、いつからそんなにバカみたく小難しくなった?

 

 

今日は渋谷のWWWでDOESのライブを観た。10年来の友人と、「独歩行脚2023 ~流離う雌鹿編~」。そのシンプルで無骨なロックの音や、熱くも力の抜けた飄々とした佇まいが、明後日の方向に行きがちな俺を毎度めいっぱい引き戻してくれる。空気の振動がそのまま救いになるんだから不思議だ。

 

銀魂』のタイアップ曲『バクチ・ダンサー』と『僕たちの季節』の男らしい和風サウンドに衝撃を受け、歌詞を調べて読み耽り、日本語の美しさに打ちのめされたのは中学生の頃である。それから高校のクラスで、『銀魂』繋がりでDOESを聴く友人と奇跡的に出会った。

 

ひとりで初めて行ったDOESのライブは鶯谷東京キネマ倶楽部。キネマ倶楽部の、いかがわしく瀟洒な雰囲気がよく似合っていた。ドラムのケーサクが和太鼓を叩いていて格好良かった。衣装を和風に替えての第2部のはじまり、浴衣を着たベースのヤスの登場ポーズが洒落ていた。『色恋歌』の色気や、当時まだ音源化されていなかった『レーザー・ライト』のダンスロック度合いに驚かされた。

 

ふたりで初めて行ったのは、どこのライブハウスかは忘れたがとにかく渋谷だ。大学受験直前の12月23日。なんか世界地図の国名当てクイズのアプリを友人がやってた。ライブの内容は覚えてないけど、とにかく楽しかったのは覚えている。んで以後たびたび一緒に行くようになってかれこれ9年で、今日に至る。DOESの活動休止期間も挟みつつ。

 

今日のMCも可笑しかった。音楽性と同様に、と言うべきか、彼らは常にどっか抜けていてそこが良い。ヤスが「シーシャって知ってる?」とか「行ってみたいんよね」とか「これからシーシャ来るんじゃねえか」とか言ってたけど、シーシャはもう世の中的にはだいぶ前に来てるだろ。題字を書いたワタルさんの母君が書道でアバンギャルド賞をとった話とかね。

 

(いまの段落の冒頭書いてて思ったけど、「可笑しい」って感覚は今なんだか流行ってない気がするが、大事なことなように思う。特に高校時代に俺が好きだったのってどれも「可笑しい」ことだったんじゃないか。極端に尖ってもなく、作られすぎた面白さでもなく、良いセンスで整頓されたものでもなく。)

 

曲目を眺めて一番を決めるのは難しいけど、少なくとも、待ってましたぞ、と心底思った曲が『僕たちの季節』。それなりのシンプルな秩序のなかに、無秩序とは言わないまでも、ほのかな可笑しみを付け足して新しい世界を見せてくれるようなサウンドと詞になっていて、それは昔の自分がそもそも持ってたモードでもあったわけだし、なによりも、今日の友人はそういう人だから。

 

うそみたいだろ
ありえないだろ
かなり風紀乱れた
君の世界が僕の世界を変えてしまったよ

 

あの入学式の日に俺が緊張しながら話しかけて、彼が今と何も変わらぬ調子で答えてくれたその瞬間、君の世界が俺のこじんまりした世界を確かに変えてしまったのだ。そんなことも思い出しながら聴いてた。

 

さて随分とっちらかった日記になった。こそこそ夜な夜なアメブロを書いてた中学時代の俺なら、このテキトーさをきっと許さないだろうけど(なんせそれなりに力を入れて面白いやつを書いていた)、まあ今回はいいってことで。もう夜も深いし。

 

なんにせよ叫んで笑って何かを取り戻して、ようやく凪いだままに7月を楽しめそうな気がする。

 

あと今日やってた曲たちから選び直して編み直したSpotifyプレイリストも、日記の欠片として作ってみた。暴走ぎみなレイジーベイベー、何も怖くないのに涙が出るけど、感じるままにイノセントに、不安で心配な紅蓮曇天ワンダーデイズを、自分に喝采して過ごすのだ。辿り着くまでか、ダメになるまでいつまでも。

 

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