TweetとNoteのあいだ

日記の亜種

鳥の鳴く声だけが

蝉の鳴く声はまだ聞こえぬほどの初夏の昼下がり。近所の川沿いのベンチに座る。ちょっとばかり虫に刺されたり、日の光が肌を焦がしたり、そういうことが気にならないくらいに静寂の音を聴く。ずっとずっと求めていた。漂流者にも故郷喪失者にもなれずに、しかしそれでもいいのだと慰めてくれる、草木と風はいつも優しい。

 

数年前もこうしていた。イベントの企画運営かなにかの役を終えては疲れ果て、耐用年数を超えた可動式のおもちゃのようになって同じ場所に座っていた。あれから色々なことがあり、考えていることも随分変わった。寂しくもなる。旧交を温めたいいくつもの顔が浮かんでは消える。実際、徒歩や自転車で気楽に会える範囲から、みな次々と遠ざかっている。自分はここに埋める骨を今日も大事に動かしている。

 

時間が過ぎゆくことが怖ろしい。怖ろしいから文字にする。そして最も恐れるべきは、せっかく文字に残したこの感情さえも、いつかどうでもよくなって顧みなくなってしまうかもしれない未来が来ることだ。

 

雲が風に流れゆくように何もかもが移ろっても、この街がジャングルだった頃から変わらない愛の形を探していられたならいい。

 

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