空の井戸から水なんて汲めるだろうか?と、しきりに虚しく問うていた。
けれど考えてみれば、別に、僕はそもそも水を汲みたいわけではなかった。僕にとって大事なのは、空の井戸が、たとえずっとずっと空だとしても、「そのままでいい」と赦してあげることだった。
透き通っては光を映し、溢れ出でては渇きを癒す、そんな彼等のようにはなれずとも、天空の花嫁はきっと微笑んでくれるのだ、と。
気が付いたのは今日のおかげだ。ひとつ短い文章を寄せさせてもらった素敵な冊子。語らう前夜。雨雲を退ける粋な祭り。そしてその魂でもって何かを変えようとする黒き拳、さらには白く気高いBGMたち。
今はただひとすくいの感謝だけを。